理論と実践の間のギャップはその建築家がより建築を頻繁につくればつくるほど起こりうると思う。ここでいう理論はどちらかというと教科書にでてくるようなマニフェストのような理論ではないかと考えている。
マニフェストをもつということは怪しいことでそれが作品の事後的に生まれてくるものならいいけど、それが先行してしまうと説得力がなくなる。
建築家は場をまとめる、効率的に進める力が必要とされるが、それは一方で理論をおろそかにすると思う。理論はある仮定をたてて実証していくが、より実践的な建築家は仮定などしない。環境を深く読み取り、現実的な問題に対してのみ向き合い、統合する。
物理学のように研究ではある仮定をし、それを実証していくという流れであり、数学はその逆で帰納法的に観察から理論を構築していく。
建築家にはその両方の考え方が必要で、その棲み分けを意識し、自分が今何をしているかしっかり自覚しないといけないのではないか。
どちらがいいというわけではなく、他方が存在することを意識することを忘れるとどんどんある種のクリエイティブさは失われていく。
そんなのいわれなくても分かるという人は多いと思うが、その線引き、バランスをしっかり意識してる人は実は少ないんじゃないか。
僕は今の環境は数学に近いと考えているが、それによって自分がどんなバランスで考えてきたか分かってきた。そしてどんなスタンスで自分がやりたいのかも客観的におぼろげながら分かってきた。それが目指すべき目標かどうかはまだわからない。
アートは自然にやりだすものだって聞いたけど、それって究極の仮定なんじゃないか。
自分はもう少し数学に近いところにいる。
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